送交者: 天華 于 September 15, 2010 13:54:04:
オリンピック前の北京は、報道を通してしか知らないので、オリンピック後の北京を語る資格がないのかもしれないが、短期間の帰省にも関わらず、語らずにはいられない体験の数々があった。
一.地下鉄
北京オリンピックがあったなあと感じさせてくれるものはもはや建造物と地下鉄の荷物検査だけ。
地下鉄自体はたいへん安く、乗換もそれなりに快適だったので、できるだけ利用しようと思ったけど、数回乗ってみたら、駅員の態度の悪さと荷物検査の面倒くささにうんざりして、結局タクシーを使うことがほとんどだった。
荷物検査はオリンピックの名残であろうが、手荷物を全てX線を通さなければならないから、時間がかかってしょうがない、だいたいなんのためにやっているのかわからない、出勤時間帯でもやっているのだろうか?
駅員の態度の悪さも目立つ。地方からの観光客が多いところでは、地下鉄の乗り方が分からない人が多く、切符の買い方が分からず、戸惑っている人、改札口で立ち往生している乗客を大声で怒鳴る駅員、聞かれても無視する駅員の多いこと!
乗り降りする時並ばないと「定評」の交通マナーの悪さが多少改善されたように見えるが、乗降口のど真ん中に立つ人がまだまだ多い。
しかし2元(約28円)という一律料金と、それほど複雑ではない乗換は大いに利用する価値がある。長く住んでいれば慣れるものなのかもしれない、なにも文句言わずに乗っていたなあと昔住んでいたころのことを思い出して、腹も立たなくなる。
二.北京土産
日本人も中国人も旅行にはお土産は欠かせないが、北京では気に入ったお土産を見つけるのが至難の業。観光客が集まる王府井ではお土産店の数こそ多いが、どこに行っても同じ顔ぶれで、「北京八大件」と言われている八種類のお菓子の詰め合わせが定番ではあるが、その味はお世辞でも美味しいとは言えない。外国人どころか、最近中国人の観光客でも見向きをしない。それでも北京っ子は一等地で店を構えて、閑古鳥の店内で悠然としている、まさに殿様商売といった風情だ。
空港でも思い切って包装が立派になっただけの北京土産があふれている。
悪口を言っているようだが、裏を返せば、これってビジネスチャンスでもあるじゃないかな?北京土産の商品開発に名乗りを上げるひとがいないのだろうか。
三.トイレ
トイレ事情は昔に比べればずいぶんよくなったと思うが、快適に使えるトイレはホテルだけ。どんなに立派なショッピングモールでも、トイレに入ればがっかりしてしまう。あるデパートでガラスの扉にハイセンスの絵がプリントされたトイレに期待をもって入ったら、中の鍵が壊れて、ごみが散乱していた。
取り付けてある手を乾かす器は稼働しているものが少なかった。とにかく公共スペースの備品類は故障しているものが多く、スタッフに聞いても、返ってきたのがいつも「坏了」(壊れた)の一言だけ。
三.国営企業職員の旧態依然
ある国営のスーパーで買い物した時のこと、商品に値札がついていないので、店員に値段を聞いてみたところ、その店員は「裏に書いてあるんじゃない」とにべもない。商品はその店員のすぐ近くにあるにも関わらず、客に「自分で見れば」と取り合わない。
不親切というより、完全に怠けている。サービス精神のかけらもないのが全体の印象だ。道を聞いても、商品の場所を聞いても、「那边」の一言だけ。まるで一言でも多くいうと損するような態度。ホテルでも、空港でも、街でも「那边」 のオンパレードだった。
四.物価
不動産が高騰しているということを知っていたが、食品、衣類の値段は日本と変わらないことに改めてびっくりした。中には安いものもあるが、ブランド物はもちろん、ユニクロや、H&M、ZARAなどはむしろ日本より高い。ちょっとしたレストランで食べると、日本円にすると数千円がかかる。それでも、どこのレストランンも大盛況だ。もはや中国は安いというのは過去の話。同じものなら日本で買った方がいいと思う人が多いだろうが、いまは必ずしも日本のほうが質がいいというわけでもない。例えば靴なんかは、売り場面積とデザインの豊富さ、オシャレ度は決して日本に劣らない、少々派手なものが多くて、日本人好みではないかもしれないが、全体的にセンスが飛躍的によくなったと感じた。
五.地方都市の危うさ
私の出身地の話なので、どれだけ中国の地方都市の実情を反映できるかわからないが、恐らくどこも似たり寄ったりで、腐敗と汚職が横行しているのかと考えられる。
人口200万ちょっと、中国ではけっして大きいほうではないが、潤沢な財政に物を言わせ、公共事業に莫大な資金をつぎこんでいる。どう見ても無駄に大きい高層ビル、高級車ばかりの公用車、市政府(市役所)のすぐ近くにリゾート地と思わせるような職員住宅、アジア一大きいと謳い文句に建設中の駅、政府の荒い鼻息に煽られたのか、市民もマンションにマイカーと、自分の収入では到底手が届かない贅沢に背伸びしてでも手に入れようと奔走する。会う人、会う人金の話ばかり、4000元の月収しかないのに、数十万元の持家に、月収分の携帯電話、マイカーも所有する人も珍しくない。
レストランの数とそのスケールもけた違い、街のど真ん中にホテルのようなレストランがズラリ、昼から賑わい、夜になると予約しないと入れない店も多い、中は個室があるのが当たり前、聞くところによると、公金を使った飲み食いでもっているようなところもある、もちろん市民も外食をしている人が多く、こここそ「民は食を以て天となす」の世界。他に娯楽が少ないためでもあるのかもしれない。それでも異様な活気とエネルギーに包まれている。
しかし、我が市のように豊かな財政を持っていなくても、地方都市は無法地帯と化してるところが少なくない。北京にいる間こんなニュースがあった。ある地方都市の幹部は無断で上司のサインで1000万元(約1億4千万円)以上の経費を流用した。司会者は、これは氷山の一角だと断言したのを聞いて、恐ろしくなった。
相変わらずの人脈とコネの世界では、ビジネスの公平性なんてものは存在しないだろう。
なんだか悪いところしか目に入らないような里帰りだったが、実は楽しい旅でもあった。あえてマイナスな面ばかりを挙げていたが、豊かさが実感できて、中国の勢いが本物だと感じた。その勢いに少しずつ丁寧さ、繊細さ、思いやりが加味されていけたらいいなあと思う今日この頃である。